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住宅ローン控除の還付金の計算方法|手順とケース別シミュレーション

三宅 沙織 / 更新:2026-06-20
住宅ローン控除の還付金の計算方法|手順とケース別シミュレーション
「住宅ローン控除でいくら戻るのか、自分で計算してみたいのに数字が合わない」——相談の現場で本当によく聞く悩みです。結論から言うと、還付金は「年末残高×0.7%」だけでは決まりません。

実際に戻る額は、あなたが納めた所得税と住民税の範囲に限られます。ここを誤解したまま試算すると、必ず数字がズレます。

この記事では、年末残高証明書と源泉徴収票を手元に置けば自分で還付金を計算できる手順を、ケース別の試算例つきで解説します。所要時間は計算だけなら15分ほど。電卓と書類2枚があれば始められます。難易度は、源泉徴収票の見方が分かれば中級レベルです。

住宅ローン控除の還付金とは?仕組みと基本の考え方

【いくら節税できる?】新しい住宅ローン控除の「変更点」と「計算方法」を分かりやすく解説【不動産投資編】:(アニメ動画)第308回
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住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、一定の条件を満たすと、年末時点の住宅ローン残高等を基に計算した額を、その年分以後の各年分の所得税額から差し引ける制度です。

控除額の基本式は「年末残高×0.7%」。控除率は0.7%で固定です。ただし、年末残高に0.7%を掛けた額と、住宅の取得対価等を基にした上限額の、小さい方が実際の控除額になります。

還付金が決まる流れ(課税所得・所得税額との関係)

還付金は、次の順番で決まります。これを押さえないと数字が合いません。

まず給与から課税所得を出し、そこに税率を掛けて「その年の所得税額」が確定します。住宅ローン控除は、この確定した所得税額から差し引く仕組みです。

だから、控除額が10万円でも、納めた所得税が8万円しかなければ、所得税から戻るのは8万円まで。残りの2万円は、次に説明する住民税へ回ります。

控除しきれない分は住民税から差し引かれる仕組み

所得税で引ききれなかった額は、一定の上限の範囲で住民税からも控除されます。

住民税からの控除上限は、原則として「課税総所得金額等×5%」または「97,500円」のいずれか低い額です。ここで頭打ちになる点が、後で「思ったより少ない」と感じる原因になります。

還付金が少なすぎると感じる理由

正直に言うと、相談で一番多い「がっかり」がここです。借入残高がそのまま戻ると思い込んでいる方が本当に多い。

住宅ローン控除は「借入残高がそのまま戻る」制度ではなく、戻り額はその人が納めた所得税・住民税の範囲に限られます。年収が低めだったり、ふるさと納税などで先に税金を減らしていると、控除枠を使い切れずに余ってしまうのです。

住宅ローン控除の還付金を計算する手順

ここからは実際の計算です。用意するのは「住宅ローンの年末残高証明書」と「源泉徴収票」の2枚だけ。控除額を最大限受けるには、年末残高・住宅の性能区分・借入限度額・所得税額・住民税額の確認が必要です。

住宅ローン控除の還付金を計算する手順

手順1:年末残高証明書で借入残高を確認する

金融機関から届く「住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書」を開きます。計算に使うのは、12月31日時点の残高です。

ここまでできていれば正しい:証明書に記載された年末残高(例:3,000万円)をメモできていればOK。複数のローンがある場合は合算します。

うまくいかないときは:ペアローンなら証明書が2枚届きます。自分名義の分だけを使ってください。

手順2:住宅の種別と控除率・上限を確認する

年末残高に0.7%を掛けます。ただし、住宅の性能区分ごとに「借入限度額」が決まっていて、残高がこれを超える分は控除の対象になりません。

控除期間は原則13年または10年で、住宅の種類や入居時期で異なります。2022年1月1日から2025年12月31日までの間に居住した住宅が、現行制度の対象です。

ここまでできていれば正しい:年末残高3,000万円なら、3,000万円×0.7%=21万円という「控除額の候補」が出せていればOK。借入限度額を超えていないかも確認します。

手順3:源泉徴収票で所得税額を確認する

会社員なら、源泉徴収票の「源泉徴収税額」の欄を見ます。これがその年に納めた所得税額です。

ここまでできていれば正しい:源泉徴収税額(例:15万円)を確認できていればOK。

うまくいかないときは:年の途中で入社・退社した方は、源泉徴収票が複数枚に分かれていることがあります。最終的な確定額を使ってください。

手順4:所得税・住民税からの控除額を計算する

いよいよ突き合わせです。控除額(手順2)と所得税額(手順3)を比べます。

控除額21万円・所得税15万円なら、まず所得税15万円が全額戻ります。引ききれない6万円は住民税へ。住民税の上限(課税総所得×5%または97,500円の低い方)の範囲で差し引かれます。

これで「自分の還付金がいくらか」を計算できました。所得税から戻る分が還付金、住民税から引かれる分は翌年度の住民税が安くなる形で反映されます。

ケース別・還付金の計算シミュレーション

数字だけだとイメージしにくいので、私が相談でよく使う型を表にしました。いずれも控除率0.7%で計算しています。実際の上限は性能区分や入居時期で変わるため、目安として見てください。

ケース別・還付金の計算シミュレーション
年末残高別・控除額の目安(控除率0.7%)
控除額は上限。実際の還付は納めた所得税・住民税の範囲に限られる。
年末残高年末残高×0.7%所得税15万円のとき所得税から戻る額住民税へ回る額の目安
2,000万円14万円14万円0円
3,000万円21万円15万円6万円(住民税上限内)
4,000万円28万円15万円13万円(住民税上限で頭打ちの可能性)

一般住宅の場合の試算例

年末残高2,500万円・所得税12万円のケースで考えます。控除額の候補は2,500万円×0.7%=17.5万円。

所得税12万円が全額戻り、残り5.5万円が住民税へ。住民税の上限97,500円を超えるかどうかで、最終的に枠を使い切れるかが決まります。

長期優良住宅・省エネ住宅の場合の試算例

性能の高い住宅は借入限度額が大きく設定されているため、残高が多くても控除の対象にしやすいのが特徴です。

ただし、ここでも戻り額の天井は自分の所得税・住民税。限度額が大きくても、納税額が少なければ枠を余らせます。性能区分ごとの借入限度額は対象年分で異なるため、入居年を必ず確認してください。

共働き・ペアローン・連帯債務の按分計算

夫婦それぞれがローンを組むペアローンでは、控除も別々です。それぞれの年末残高証明書をもとに、各自が自分の所得税・住民税から控除を受けます。

連帯債務の場合は、負担割合に応じて借入額を按分します。たとえば夫6・妻4の負担割合なら、年末残高3,000万円を1,800万円と1,200万円に分けて、各自で0.7%を計算します。

私が現場で感じるのは、夫婦どちらかの所得税が少ないと、その人の枠が余りやすいという点。按分割合は、購入時の資金の出し方と整合させる必要があり、後から自由に変えられません。

中古住宅・リフォーム・増改築の場合の違い

中古住宅やリフォームでも控除は使えますが、適用条件と借入限度額が新築と異なります。控除期間が10年になるケースもあります。

計算式そのもの(年末残高×0.7%)は同じです。違うのは限度額と期間。中古は築年数や省エネ基準の要件があるため、契約前に対象かどうかを確認しておくと安心です。

還付金を受け取るための確定申告と2年目以降の手続き

住宅ローン控除(減税)を分かりやすく解説!
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計算ができても、申告しなければ1円も戻りません。住宅ローン控除の適用には、初年度は確定申告が必須です。給与所得者が2年目以降に控除を受ける場合は、年末調整で対応できます。

1年目:確定申告に必要な書類と提出の流れ

確定申告書の提出期限は、原則として翌年2月16日から3月15日まで。ただし還付申告なら、年明け1月から提出できます。

主な書類は、確定申告書、住宅ローンの年末残高証明書、源泉徴収票、登記事項証明書、売買契約書(または工事請負契約書)の写しなどです。性能の高い住宅は、性能を証明する書類も必要になります。

e-Taxを使ったオンライン申告の手順

私は最近、相談者にはe-Taxを勧めています。郵送より早く、入力に沿って進めれば計算ミスも減るからです。

手順1:国税庁の確定申告書等作成コーナーにアクセスします。手順2:マイナンバーカードとスマホ(またはICカードリーダー)でログインします。手順3:画面の質問に沿って源泉徴収票と年末残高証明書の数字を入力します。手順4:自動計算された還付額を確認し、送信します。

ここまでできていれば正しい:送信後に「受信通知」が表示されればOK。これが受理の証拠になります。

うまくいかないときは:マイナンバーカードの読み取りエラーが多発します。スマホのNFC位置にカードをぴったり当てると安定します。

2年目以降:会社員は年末調整で完結する

会社員の方は、2年目からぐっと楽になります。確定申告は不要で、年末調整で完結します。

税務署から届く「住宅借入金等特別控除申告書」(控除期間分がまとめて送られます)と、金融機関の年末残高証明書を、年末調整時に勤務先へ提出するだけ。これで毎年の手続きが終わります。

うまくいかないときは:申告書をなくす方が毎年います。再発行は税務署に申請できますが時間がかかるため、控除期間中は大切に保管してください。

還付金が振り込まれる時期の目安

還付金は、税務署が申告を受理してから通常1か月前後で指定口座に振り込まれる案内があります。e-Taxの方が処理が早い傾向です。

確定申告の集中期(2月後半〜3月)は処理が混み合うため、1月や2月上旬に早めに出すと、振込も早まりやすいというのが私の実感です。

計算でつまずきやすいポイントと対処法

ここは「損や勘違いを避けたい」方に一番読んでほしいパートです。控除を最大限受けるには、年末残高・性能区分・借入限度額・所得税額・住民税額の5つの確認が欠かせません。

計算でつまずきやすいポイントと対処法

最大控除額がそのまま戻るとは限らない

パンフレットの「最大○○万円控除」は、あくまで上限です。実際の戻り額は、年末残高×0.7%と上限の小さい方、さらにその人の所得税・住民税の範囲に限られます。

私の相談でも、「最大455万円戻ると思っていた」という勘違いは珍しくありません。最大値は、高い借入残高と十分な納税額がそろって初めて近づく数字です。

繰り上げ返済・借り換えをした場合の影響

控除は年末残高がベースです。繰り上げ返済で残高が減れば、その分だけ控除額も下がります。

借り換えは特に注意が必要です。借り換え後のローンが控除の要件を満たさないと、控除自体が受けられなくなることがあります。借り換え前に、残りの返済期間や用途の要件を必ず確認してください。

毎年の還付金額が変わる理由

還付金は毎年同じではありません。理由はシンプルで、年末残高が返済で毎年減るからです。

残高が減れば0.7%を掛けた控除額も減ります。加えて、その年の所得税額が昇給や扶養の変化で動けば、戻る額も変わります。去年と違っても、計算ミスではないことがほとんどです。

他の制度との併用で還付金が変わる注意点

住宅ローン控除は単独で完結しません。他の控除や特例との組み合わせで、戻る額が変わります。ここを知らずに損をする方が多い領域です。

他の制度との併用で還付金が変わる注意点

ふるさと納税と併用するときの調整

ふるさと納税は住民税を先に減らします。すると、住宅ローン控除で住民税から差し引ける枠が圧迫され、控除を使い切れなくなることがあります。

特に、所得税で控除を引ききれず住民税側に頼っている人は要注意。ワンストップ特例ではなく確定申告でふるさと納税を申告する場合は、計算順序の影響を受けやすいので、寄付額を控えめに見積もるのが私の助言です。

医療費控除など他の控除との計算順序

医療費控除や生命保険料控除は、課税所得を減らす「所得控除」です。これらを先に適用すると所得税額そのものが下がります。

住宅ローン控除は、所得控除を引いた後の所得税額から差し引く「税額控除」。つまり所得控除が多い年は、住宅ローン控除の枠が余りやすくなります。両方を申告する場合は、順序を意識しておくと納得感が違います。

住宅取得等資金贈与の特例との調整

親などから住宅資金の贈与を受け、贈与税の非課税特例を使った場合、その贈与で取得した部分は住宅ローン控除の計算から差し引く調整が入ります。

贈与と借入の両方で同じ取得費を二重に控除できない、という考え方です。特例を併用するなら、取得対価から贈与分を除いて計算してください。

2024年以降の子育て・若者夫婦世帯の優遇措置

2024年以降、子育て世帯や若者夫婦世帯には、新築の省エネ住宅などで借入限度額を上乗せする優遇措置が設けられています。

対象や上乗せ額は入居年・住宅性能で細かく分かれます。自分が対象かどうかは入居年を基準に確認が必要で、毎年の税制改正で更新されるため、最新の国税庁資料で対象年分を必ずチェックしてください。

申告を忘れたときの救済とよくある質問

【住宅ローン控除】〇〇万円戻ってくる!?還付金額を事例付きで徹底解説!!
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「初年度の確定申告を忘れていた」という相談、実は毎年あります。でも諦めるのはまだ早いです。

還付申告は5年さかのぼって可能

還付申告は、対象年の翌年1月1日から5年以内に提出できます。初年度の申告を忘れていても、5年以内なら遡って申告できます。

実際に私が担当したケースでも、3年分まとめて還付申告して取り戻した方がいます。書類さえ揃えば手続きは初年度と同じ。心当たりがあるなら、年末残高証明書を引っ張り出してみてください。

よくある質問(FAQ)

よくある質問

住宅ローン控除の還付金の計算方法とは?
基本は「年末残高×0.7%」で控除額を出し、その年の所得税額と比べます。所得税で引ききれない分は、課税総所得×5%または97,500円の低い方を上限に住民税から控除されます。年末残高証明書と源泉徴収票の2枚があれば計算できます。
住宅ローン控除の計算に費用はかかる?
自分で計算・申告するだけなら費用はかかりません。国税庁の確定申告書等作成コーナーやe-Taxは無料で使えます。複雑なケースで税理士やFPに依頼する場合は別途相談料がかかります。
住宅ローン控除の手続きはどう始める?
初年度は確定申告から始めます。年末残高証明書・源泉徴収票・登記事項証明書などを揃え、原則翌年2月16日〜3月15日に提出します。還付申告なら1月から提出可能です。2年目以降の会社員は年末調整で完結します。

最後に一つだけ。まずは源泉徴収票と年末残高証明書を並べて、手順3と4の突き合わせだけでもやってみてください。自分の戻り額の上限が、たった5分で見えてきます。

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三宅 沙織

三宅 沙織

2級ファイナンシャル・プランニング技能士 ・ FP事務所勤務・住宅ローン相談業務5年
住宅ローン相談歴5年

FP事務所に勤務するファイナンシャルプランナーとして、住宅購入相談や確定申告サポートを年間100件以上担当。実際の申請手続きや税務署とのやり取りをもとに、初めての方でも迷わない情報を届けることを心がけています。

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