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住宅ローン控除の年末調整|必要書類と書き方・還付金まで解説

三宅 沙織 / 更新:2026-06-20
住宅ローン控除の年末調整|必要書類と書き方・還付金まで解説
住宅ローン控除、年末調整でいいの?それとも確定申告?――相談現場でいちばん多い質問がこれです。結論から言うと、会社員なら2年目以降は年末調整だけで控除を受けられます。1年目だけは確定申告が必要です。

この記事では、1年目との違い、年末調整で出す書類と申告書の書き方、還付金の目安と入金時期、そして「うっかり忘れた」「書類をなくした」ときの挽回方法まで一通り整理します。

私はFP事務所で住宅購入や確定申告のサポートを年間100件以上担当しています。実際の窓口で「ここでつまずく人が多い」というポイントも交えて書きます。手元に勤務先から配られた年末調整の書類があれば、見比べながら読んでみてください。

住宅ローン控除と年末調整の関係をまず押さえる

住宅ローン控除の確定申告のやり方をわかりやすく解説【スマホ・e-Tax対応】
住宅ローン控除の確定申告のやり方をわかりやすく解説【スマホ・e-Tax対応】

まずは2つの制度を切り分けます。ここが混ざると、必要な手続きがまるごと分からなくなります。

住宅ローン控除とは何か

住宅ローン控除は、ローンを借りて住宅の新築・取得・増改築をした人が、年末のローン残高の0.7%を所得税(一部は翌年の住民税)から最大13年間差し引ける制度です。国土交通省は「住宅ローン減税」、国税庁は「住宅借入金等特別控除」と、呼び名が違うので注意してください。

控除率は0.7%。残高2,000万円なら単純計算で年14万円が税金から戻る計算です。納めた税金から「差し引く」制度なので、戻る上限はその年に納めた税額までになります。

そもそも年末調整とは

年末調整は、勤務先が毎月の給料から天引きしてきた所得税を、1年の終わりに正しい金額へ精算する手続きです。多めに引かれていた分は戻り、足りなければ追加で引かれます。

会社員のほとんどは、この年末調整があるから自分で確定申告をしなくて済んでいます。住宅ローン控除も、この仕組みの中に組み込んでもらえるのです。

なぜ年末調整で控除が受けられるのか

国税庁は、前年に確定申告で住宅借入金等特別控除を受けた給与所得者は、翌年以降を年末調整で受けられると案内しています。つまり「一度確定申告で制度を使い始めた人」が対象です。

勤務先に必要書類を出せば、会社側が残高に応じた控除額を計算し、給料から引きすぎた税金を戻してくれます。自分で税務署へ行く必要はありません。

1年目と2年目以降で手続きが違う理由

同じ控除なのに、1年目だけ確定申告が要る。これには理由があります。

1年目と2年目以降で手続きが違う理由

1年目は確定申告が必要

入居して最初の年は、年末調整では受けられません。確定申告で「私はこの制度の対象です」と税務署に最初の登録をする必要があるからです。

この初回申告では、登記事項証明書や売買契約書、ローンの年末残高証明書など多くの書類を揃えます。正直、ここがいちばん面倒です。でも一度通せば、翌年からは一気にラクになります。

2年目以降は年末調整で受けられる

2年目からは、勤務先の年末調整に書類を出すだけ。確定申告は不要です。

必要なのは後述する2種類の書類だけ。1年目の苦労に比べると、拍子抜けするほど簡単になります。会社員の方は、この差を知っておくと毎年の手間の見通しが立ちます。

申告がいつから年末調整に切り替わるか

切り替わりは「確定申告をした年の翌年分」からです。国税庁の案内では、令和6年中に入居して令和6年分の申告で控除を受けた人が、令和7年分以降を年末調整で行う、と示されています。

言い換えると、入居初年の確定申告→翌年の年末から年末調整、という流れ。自営業の方や、給与以外の所得で毎年確定申告する方は、2年目以降も確定申告で続けます。

年末調整で住宅ローン控除を受ける手続きの流れ

ここが本題です。出す書類は2つだけ。順番に見ていきます。

年末調整で住宅ローン控除を受ける手続きの流れ

必要書類の一覧

国税庁が案内する年末調整での必要書類は、次の2つです。どちらも年分の表示があるので、その年のものかを必ず確認してください。

年末調整で住宅ローン控除を受けるための書類
書類名入手先ポイント
給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書税務署(1年目の確定申告後にまとめて郵送)残り年数分が一度に届く。年分ごとに1枚使う
住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書借入先の金融機関毎年10〜11月頃に郵送される

申告書は、1年目の確定申告のあとに残りの控除年数分がまとめて届きます。たとえば13年控除なら、2年目以降の12枚分が一束で送られてくるイメージです。だからこそ、なくすと厄介。これは後述します。

申告書の書き方と記入例

申告書は最初の見た目で身構えますが、転記する場所は決まっています。金融機関から届いた年末残高証明書の数字を、申告書の該当欄に書き写すのが基本です。

記入の流れを、私が窓口で説明している順番でまとめます。

住宅借入金等特別控除申告書の記入手順
手順書く内容参照元
1氏名・住所など基本事項勤務先の指示どおり
2年末残高を「住宅借入金等の年末残高」欄に転記年末残高等証明書
3居住用割合や面積など印字済み項目を確認税務署が印字済みのことが多い
4控除額を計算欄に記入(残高×0.7%が目安)証明書の残高をもとに計算

単独名義なら難しくありません。迷いやすいのは、夫婦の連帯債務・ペアローンのとき。その場合は持分や負担割合に応じて残高を按分するので、1年目の確定申告で書いた割合と同じにそろえてください。

勤務先への提出時期と提出先

提出先は税務署ではなく勤務先です。年末調整の他の書類(保険料控除など)と一緒に、会社が決めた締切までに出します。だいたい11月中旬〜12月初旬が多い印象です。

年末残高証明書は申告書に添付して提出します。証明書が届くのは10〜11月頃なので、届いたら年末調整の封筒に一緒にしまっておくと紛失を防げます。

気になる還付金の金額と入金時期

年末調整の住宅ローン控除申請に必要な書類と記入方法(記入例付き)
年末調整の住宅ローン控除申請に必要な書類と記入方法(記入例付き)

いくら戻って、いつ振り込まれるのか。ここは皆さんいちばん気にする部分です。

還付金はいくら戻るのか

控除額の目安は「年末のローン残高×0.7%」。残高2,500万円なら17.5万円が計算上の控除額です。

ただし戻るのは、その年に納めた所得税の範囲まで。控除額が納めた税額より大きいと、引ききれない分が出ます。その扱いは後ろの注意点で説明します。年末調整の場合、戻るお金は「給料から引きすぎていた所得税の精算」として返ってきます。

還付金が入金されるタイミング

年末調整は確定申告と違い、税務署からの振込ではありません。会社の精算なので、戻り分は12月か翌1月の給与に上乗せされる形が一般的です。

給与明細の「年末調整還付」などの欄を見ると、いくら戻ったか分かります。確定申告のように1〜2か月待つことはなく、給料日に反映されるのが年末調整のいいところです。

年末調整で住宅ローン控除を受けるときの注意点

控除を受け損ねる原因は、だいたい同じ3つに集約されます。相談現場の実感です。

年末調整で住宅ローン控除を受けるときの注意点

書類を紛失したときの再発行

申告書をなくすと、毎年困ります。前述のとおり残り年数分が一束で届くため、これを失くす相談は本当に多い。

申告書は税務署で再発行できます。「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書」の交付を申請する形です。年末残高証明書のほうは、借入先の金融機関に連絡すれば再発行してもらえます。慌てず、まずは届いた束を1か所にまとめて保管しておくのが一番の予防策です。

年末調整を忘れた場合の対処

締切に間に合わなかった、書類が手元になかった――。それでも控除をあきらめる必要はありません。

年末調整で出し忘れても、自分で確定申告すれば取り戻せます。さらに過去分を出し忘れていた場合でも、還付申告は5年さかのぼって可能です。「もう無理かも」と相談に来る方が多いのですが、たいてい挽回できます。

繰上返済や借換えをしたときの影響

見落とされがちなのが、年末近くの繰上返済・借換えです。これをすると年末残高が変わるため、すでに届いている年末残高証明書の金額と実際の残高がズレます。

借換えをした場合は、新しい借入先から新しい証明書が出ます。10月以降に動かしたなら、証明書の再発行を依頼して、最新の残高で申告してください。古い数字のまま出すと、後で修正が必要になります。

つまずきやすい失敗例と回避のコツ

窓口で実際にあった「やってしまった」を2つ紹介します。どちらも避けられるものです。

つまずきやすい失敗例と回避のコツ

申告書と証明書の年分を間違えるケース

束で届く申告書には、それぞれ年分が印字されています。来年分を今年提出してしまう取り違えが、意外と起きます。

提出前に「申告書の年分」と「年末残高証明書の年分」が一致しているかを必ず見比べてください。ここを確認するだけで、差し戻しの大半は防げます。

控除しきれない残額の取り扱い

控除額が所得税より大きいとき、引ききれない分は翌年の住民税から差し引かれます。この住民税分は、自分で手続きする必要はありません。

年末調整の結果が市区町村へ自動で連携され、翌年6月以降の住民税が軽くなる仕組みです。「所得税だけ見て損した気がする」という声をよく聞きますが、住民税まで含めて控除されていると知ると、たいてい納得されます。

住宅ローン控除の年末調整に関するよくある質問

2年目以降の住宅ローン控除~令和7年分年末調整について、新しい調書方式の解説も含め、詳しく解説します。
2年目以降の住宅ローン控除~令和7年分年末調整について、新しい調書方式の解説も含め、詳しく解説します。

相談で繰り返し聞かれる質問を、3つだけまとめます。

よくある質問

住宅ローン控除の年末調整とは何ですか
会社員が2年目以降、勤務先の年末調整で住宅ローン控除を受ける手続きのことです。前年に確定申告で控除を受けた人が対象で、税務署から届く申告書と金融機関の年末残高証明書を勤務先へ出すと、引きすぎた所得税が給与で戻ります。
手続きに費用はかかりますか
年末調整で控除を受けること自体に費用はかかりません。申告書は税務署から無料で送られ、年末残高証明書も借入先の金融機関が発行します。自分で税務署へ行く必要もないので、基本的に追加の出費は生じません。
何から始めればよいですか
まず手元に2つの書類があるか確認します。税務署から届いた住宅借入金等特別控除申告書と、金融機関からの年末残高証明書です。証明書の残高を申告書に転記し、勤務先の年末調整の締切までに提出すれば完了です。1年目の方は、先に確定申告が必要です。

最後にひとつ。年末調整は「出すだけ」で済む年こそ油断しがちです。10〜11月に証明書が届いたら、その場で年末調整の封筒に入れる。これだけで毎年の取りこぼしはほぼ防げます。届いた書類を放置しないこと、それが私からの一番の助言です。

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三宅 沙織

三宅 沙織

2級ファイナンシャル・プランニング技能士 ・ FP事務所勤務・住宅ローン相談業務5年
住宅ローン相談歴5年

FP事務所に勤務するファイナンシャルプランナーとして、住宅購入相談や確定申告サポートを年間100件以上担当。実際の申請手続きや税務署とのやり取りをもとに、初めての方でも迷わない情報を届けることを心がけています。

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